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追悼 野口秀世さん

「君は建築が好きか!?」

入社面接に持ち込んだ、A1サイズの大きなポートフォリオを眺め、
ニカッと破顔しながら、緊張気味の後輩に向かって問いかけてくださった、
野口さんを想うとき、真っ先にその笑顔が浮かびます。

久米設計に所属されながら、数々の素晴らしい建築を遺された建築家、
野口秀世さんが、去る9日、お亡くなりになった、という連絡を頂いた瞬間も、
その笑顔が真っ先に脳裏によみがえりました。

亡くなる4日前まで、新しいプロジェクトのスケッチを描き続けておられたそうです。
大げさでなく、365日、24時間、設計に身を捧げた方でした。

劇場の設計に携わりたくて入社した久米設計で、
私にとって野口さんは輝ける先駆者であり続けました。

杉並公会堂のオープンコンペで
「一般利用者が主役となる公共ホール」というコンセプトを練り上げ、
見事一等を勝ち取る喜びを、ともに味あわせていただいたことが
昨日のように思い起こされます。
残念ながらその画期的な公会堂は実現に至りませんでしたが、
そのコンセプトを更に推し進めた北上市文化交流センターで、
「アートファクトリー」という見事な創造と交流の空間を実現し、
当時最も権威のあった、建築学会賞作品賞を受賞されたことは
自分のことのように嬉しかったです。

独立後はお会いする機会は少なくなりましたが、
「建築が好きか!?」という問いかけは、
常に精進せよ、という戒めの意味となって、
今も私の胸の一番深いところに置かれています。

「はい、大好きです!」と答えた、
勢いだけの若造だった私も、
野口さんが北上のコンペを勝ち取った年齢になろうとしています。
出来ることなら、もっともっと
野口さんのご活躍を拝見したかったし、
私の作品も見ていただきたかったです。

野口秀世さん、本当にお世話になりました。
心よりご冥福をお祈りいたします。

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