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フランスでの空間デザイン『アンティゴネ』初日 [舞台空間デザイン]

フランス アヴィニョン演劇祭2017のオープニングを飾る作品
『アンティゴネ』が無事に幕を開けました。

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大きなトラブルも無く、天気にも恵まれました。
2000の客席を埋め尽くすお客様は、毎年この瞬間を楽しみにして来ておられます。
それだけ目の肥えた、ある意味とても厳しい批評の眼差しの洗礼を受ける事になります。
日本の宮城聰さんが、アジア人の演出家として初めてオープニング公演を任された作品としても
賛否両論、大注目の作品となり、厳重なセキュリティチェックの中、30分押しの開演。

生演奏でエンディングを迎え、一瞬の静寂の後、大きな拍手とスタンディングオベーション。

「法王庁の初日で全席スタンディングオベーションは、普通はあり得ません。
これは誇りに思うべき出来事です。」
とは、あるベテラン現地スタッフのお言葉。
難しい作品であったに関わらず、想像以上の嬉しい初日の反応を見届けて、日本に戻りました。

フランスではル・モンド紙を初め、好意的な劇評を掲載していただきました。
フィガロには、木津潤平の空間デザインと名前を挙げて紹介していただき、嬉しい限りです。

こちらが、法王庁で「アンティゴネ」をすることが決まったときにイメージが浮かんだ最初のスケッチです。

antigone firstsketch.jpg


宮城聰さん演出作品での舞台空間デザインの場合、特に近年、演出がまだほとんど白紙に近い段階で、会場となる場所と作品からイメージを膨らませ、まず空間演出としてのデザインを先に提示し、そこから演出が始まっていく、という少し特殊なやり方を求められています。

世界遺産である14世紀の建築を活かした劇空間を作り上げる機会をいただいたこと、様々なハードルを一緒に乗り越えた日仏舞台スタッフの皆様、また現場でしか調整できない細かな調整にお付き合いいただき、一緒に空間をつくりあげてくださった演出家、スタッフの皆様、俳優陣の皆様に、心より感謝しております。
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南仏 アヴィニヨン1日目 [設計事務所の日常]

南仏 アヴィニョン1日目
アヴィニヨンに到着するなり、スーツケースを持ったまま
アヴィニヨンフェスティバルのオープニング会場 
教皇庁の中庭へ直行し、舞台の仕込みを確認。

あらかじめ現地スタッフが舞台全面に水を張る準備を進めてくれていたおかげで、
初日にほぼ石の配置も完了しました。
22時過ぎに陽が落ちた後に、
いよいよ、今回の「アンティゴネ」舞台デザインの肝とも言える影絵の確認。

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スクリーンはそびえ立つ30メートルの石壁。600年以上の年月が刻み込まれた荒々しい石肌に、
俳優の影が映りこんだ瞬間、全身に鳥肌が立つ様な興奮を覚えました。
フランス語の字幕もこの影絵に重ねる事で、言葉と身体が2次元の世界で融合し、
なんだか漫画の様でもあって面白いです。
情報が極端に削ぎ落とされるので、アナログでありながらデジタル的でもあります。
そして、影絵がある事で舞台の上で息づく俳優の生身の身体性が、更に強調された表現に繋がると良いな、と思います。

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